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腫瘍診療の流れ①

  • ryomavet
  • 4月29日
  • 読了時間: 2分

脾臓に出来た腫瘍
脾臓に出来た腫瘍

「がん」というのは人間では死因の第1位となっています。

医療技術の発達などにより、寿命が伸びていることなどが関係しているといわれていますが、これは人間同様に高齢化が進む動物の世界にもいえることで、

犬の死亡原因の第1位はやはり「がん」です。

特に10歳以上の子の半数以上は「がん」で亡くなっています。


「がん」というのは人間でもそうですが、一部の場合を除いて、全てに等しく起こりえる病気となります。どんな子でも「がん」になりうるのです。

多くは高齢になってから発症しますが、一定の犬種・猫種の中では若いうちから発症することもあります。そして、一度発症すると本当の意味での「完治」ということは残念ながら望めません。転んですりむいた傷が、しばらくしてほとんど跡形もなくきれいになったというような「完治」というのは「がん」には望めないのです。


「がん」に限らず人間同様、動物にも「治らない」病気というものが少なからずありますが、「がん」はその最たるものです。


では、「がん」の治療とは何をしているのでしょうか?

「がん」は放っておくと周りの組織に浸潤し、大きくなり、場所によっては、歩行障害や出血・感染などを引き起こし、腫瘍周囲や肺・肝臓・脾臓などに転移を起こし、動物を死に至らしめます。


動物はこの間、炎症による痛み、出血が原因の貧血など体調に影響を及ぼす状態が続き、苦しい状態が続くことになります。


「がん」の治療とは、その動物が苦しんでいる状況を少しでも改善してあげられないかとしてする治療となります。

最終的には転移などを起こして亡くなってしまう時がくるわけですが、それまでの期間、その子をどれだけ楽にさせてあげることができるか、また、その期間をどれだけ延ばせるかというのが、今の腫瘍診療の実際となります。


「がん」は治せないということをはっきり言うと、ちょっと失望というか、じゃあ治療する意味はないじゃないのかと感じる方がいるかもしれません。

しかし、考えてみてください。

誰だって苦しむのは嫌です。それはあなたの愛犬・愛猫も同じです。

そして、1日でも長くあなたと一緒にいたいと思っているはずです。

人生の最期をどれだけ安らかに迎えさせてあげるか、方法はいろいろありますが、その子その子に最適な選択ができるようなお手伝いをしていきたいと思っています。

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