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  • ryomavet
  • 2025年4月29日

悪性の乳腺腫瘍
悪性の乳腺腫瘍

さて、今度こそ実際の診療の流れに入っていきたいと思います。


まず、体の表面に何かしこりができた場合には、飼い主様が「うちの子に何かしこりができたんです。」と来院されます。


それは、皮膚などにできていることで、見てわかるしこりです。

そういう場合には、まず、どこにどんなものができているのかを確認します。

それと同時に、その犬・猫の種類、年齢、既往歴、現在の体調などを確認します。

皮膚にしこりがあるからといって、そこだけにあるとは限らないので、全身をチェックします。


場合によっては、体の中の腫瘍の転移として皮膚に出ていることもあります。

そのような場合には、体調も落ちていることなどが多いですので、血液検査やレントゲン検査などで詳しく調べていきます。


体調などに特に問題がない場合には、そのしこり自体にアプローチをしていきます。

まず行うのが細胞診という検査です。

腫瘍に直接針を刺して細胞を採取します
腫瘍に直接針を刺して細胞を採取します

これは人間でもよく行われている検査ですが、細い針で腫瘍の細胞を取り出し検査します。

痛みは少なく、麻酔なども必要ない最も簡単な検査です。


この検査において最も重要なことは、そのしこりが、腫瘍なのか炎症なのかを鑑別することです。そして、腫瘍であることが疑われた場合には、良性と悪性のどちらが疑われるのかを見分けていきます。


細胞診検査でできることはここまでです。

ただし、腫瘍の種類によってはこの検査で診断できることもあります。

しかし、多くは診断まではできませんから、腫瘍が疑われた場合には、特に悪性のものが疑われた場合には、もう一歩踏み込んで検査をしていきます。

というのも、悪性であった場合に、腫瘍の種類によって手術で摘出を考えた時に

しこりの周りをどのくらいの範囲で摘出すればよいかの判断が異なるからです。


より適切な手術を行うためにもより確かな診断が必要となります。

細胞診の次の検査としては、より多くの組織をとっての病理組織検査となります。

腫瘍の状態によって、結紮離断(しこりの一部分もしくは根元を糸で結んで切り取る)や

トゥルーカットバイオプシーなどがあります。

細胞診の時よりも太い針を刺入し、より大きな細胞塊を採取します
細胞診の時よりも太い針を刺入し、より大きな細胞塊を採取します

その検査によって腫瘍の種類を絞り込んで、手術や抗がん剤投与、放射線照射などの治療に入っていきます。

次回は、腫瘍の治療法についてお話していきたいと思います。

  • ryomavet
  • 2025年4月29日



今回から、実際に腫瘍診療をしていくに当たって、どのような流れで診療していくことが多いかをお話していきたいと思います。

今回はまず、「がん」って何?という話からしていきたいと思います。


もともと私たち人間を含めた動物は、細胞からできています。

その細胞は、正常な状態では、必要に応じて、細胞が分裂して増殖していきます。

それに対して、細胞が、自己制御を失い異常に増殖していくのが、「がん(悪性腫瘍)」という病気です。

自己制御を失った細胞は、勝手に組織を作っていくので、しこりができるわけです。

このしこりを腫瘍といいます。

腫瘍は、良性と悪性に分けられ、悪性腫瘍のことを「がん」とよびます。

良性腫瘍は、ほとんどの場合、命に関わるような害はなく、切除してしまえば再発や転移することはありません。

とはいえ、良性の腫瘍であっても、場所によっては、大きくなって歩行障害が出ることや、

お腹の中にできたものでは、他の臓器を圧迫して症状を出すこともあります。


悪性腫瘍の場合は、切除しても再発や転移することがあります。

悪性腫瘍は急激に大きくなるもの、ゆっくりと活動するものとがあり、場所や腫瘍の種類によっては症状も様々です。

  • ryomavet
  • 2025年4月29日

脾臓に出来た腫瘍
脾臓に出来た腫瘍

「がん」というのは人間では死因の第1位となっています。

医療技術の発達などにより、寿命が伸びていることなどが関係しているといわれていますが、これは人間同様に高齢化が進む動物の世界にもいえることで、

犬の死亡原因の第1位はやはり「がん」です。

特に10歳以上の子の半数以上は「がん」で亡くなっています。


「がん」というのは人間でもそうですが、一部の場合を除いて、全てに等しく起こりえる病気となります。どんな子でも「がん」になりうるのです。

多くは高齢になってから発症しますが、一定の犬種・猫種の中では若いうちから発症することもあります。そして、一度発症すると本当の意味での「完治」ということは残念ながら望めません。転んですりむいた傷が、しばらくしてほとんど跡形もなくきれいになったというような「完治」というのは「がん」には望めないのです。


「がん」に限らず人間同様、動物にも「治らない」病気というものが少なからずありますが、「がん」はその最たるものです。


では、「がん」の治療とは何をしているのでしょうか?

「がん」は放っておくと周りの組織に浸潤し、大きくなり、場所によっては、歩行障害や出血・感染などを引き起こし、腫瘍周囲や肺・肝臓・脾臓などに転移を起こし、動物を死に至らしめます。


動物はこの間、炎症による痛み、出血が原因の貧血など体調に影響を及ぼす状態が続き、苦しい状態が続くことになります。


「がん」の治療とは、その動物が苦しんでいる状況を少しでも改善してあげられないかとしてする治療となります。

最終的には転移などを起こして亡くなってしまう時がくるわけですが、それまでの期間、その子をどれだけ楽にさせてあげることができるか、また、その期間をどれだけ延ばせるかというのが、今の腫瘍診療の実際となります。


「がん」は治せないということをはっきり言うと、ちょっと失望というか、じゃあ治療する意味はないじゃないのかと感じる方がいるかもしれません。

しかし、考えてみてください。

誰だって苦しむのは嫌です。それはあなたの愛犬・愛猫も同じです。

そして、1日でも長くあなたと一緒にいたいと思っているはずです。

人生の最期をどれだけ安らかに迎えさせてあげるか、方法はいろいろありますが、その子その子に最適な選択ができるようなお手伝いをしていきたいと思っています。

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