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腫瘍診療の流れ③

  • ryomavet
  • 4月29日
  • 読了時間: 2分

悪性の乳腺腫瘍
悪性の乳腺腫瘍

さて、今度こそ実際の診療の流れに入っていきたいと思います。


まず、体の表面に何かしこりができた場合には、飼い主様が「うちの子に何かしこりができたんです。」と来院されます。


それは、皮膚などにできていることで、見てわかるしこりです。

そういう場合には、まず、どこにどんなものができているのかを確認します。

それと同時に、その犬・猫の種類、年齢、既往歴、現在の体調などを確認します。

皮膚にしこりがあるからといって、そこだけにあるとは限らないので、全身をチェックします。


場合によっては、体の中の腫瘍の転移として皮膚に出ていることもあります。

そのような場合には、体調も落ちていることなどが多いですので、血液検査やレントゲン検査などで詳しく調べていきます。


体調などに特に問題がない場合には、そのしこり自体にアプローチをしていきます。

まず行うのが細胞診という検査です。

腫瘍に直接針を刺して細胞を採取します
腫瘍に直接針を刺して細胞を採取します

これは人間でもよく行われている検査ですが、細い針で腫瘍の細胞を取り出し検査します。

痛みは少なく、麻酔なども必要ない最も簡単な検査です。


この検査において最も重要なことは、そのしこりが、腫瘍なのか炎症なのかを鑑別することです。そして、腫瘍であることが疑われた場合には、良性と悪性のどちらが疑われるのかを見分けていきます。


細胞診検査でできることはここまでです。

ただし、腫瘍の種類によってはこの検査で診断できることもあります。

しかし、多くは診断まではできませんから、腫瘍が疑われた場合には、特に悪性のものが疑われた場合には、もう一歩踏み込んで検査をしていきます。

というのも、悪性であった場合に、腫瘍の種類によって手術で摘出を考えた時に

しこりの周りをどのくらいの範囲で摘出すればよいかの判断が異なるからです。


より適切な手術を行うためにもより確かな診断が必要となります。

細胞診の次の検査としては、より多くの組織をとっての病理組織検査となります。

腫瘍の状態によって、結紮離断(しこりの一部分もしくは根元を糸で結んで切り取る)や

トゥルーカットバイオプシーなどがあります。

細胞診の時よりも太い針を刺入し、より大きな細胞塊を採取します
細胞診の時よりも太い針を刺入し、より大きな細胞塊を採取します

その検査によって腫瘍の種類を絞り込んで、手術や抗がん剤投与、放射線照射などの治療に入っていきます。

次回は、腫瘍の治療法についてお話していきたいと思います。

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